OYUUGI
日曜の朝5時
雲一つない早朝の優しい空にゆっくりと朝日が昇り始めている。
ベッドから上がり、体全身を朝日にあて伸びをしよう。
階段を下りリビングから洗面所にアクセスし歯磨きを始める。
歯ブラシに歯磨き粉を塗り、奥歯から丹念に磨いて行く。
少し冷えた水で顔を洗い、瞳孔から一気に目を開かせる。
タオルで顔を拭き取りながらと、同時に天井の窓から空を確認。
「うん、いい天気。ちょっと走りに行くか」
5月の京都はもうすっかりと初夏の陽気になった。
薄手の麻生地で出来たジャケットを一枚羽織り、スニーカーと合わせる。
木屋町通りを少し北上、鴨川二条を渡り、ガレージまで向かう。
まだ街は起きていない、車は少なく、川に浮かぶ鴨は、ゆっくりと羽ばたく準備をしている。
毎回ガレージに近付くにつれ、落ち着きが無くなり自然と早足になるのだが
所謂これが大人の少年心なのだろう。
シャッターを潜り
しっとりとしたボディカバーに包まれている我が愛機
「さあそろそろ起きる時間だよ」
イモビのキーを押しセキュリティを解除する。
カンビオポンプのキュイーンという独特な音と共にドアを開け
キーを半分まで回しイグニッションをON。
電圧OK、油圧OK、オイルレベルOK
全ての電力が稼働し始めるのを耳で確認した後、セルを回す。。「ッッキュルルル フォワン-----」
ここまでの動作、約50秒
私はこの約50秒間、瞼がトロンとし口元が緩くなってしまう。
そして心の声が、もう咽喉仏のすぐ真裏まで来ている。
「ああ….最高。。」
正常にエンジンが掛かり安堵しているのも束の間、次のステップに入る。
左から水温、ガソリンレベルを確認し、カルテを製作していく。
「やあ、2週間振りだね 元気にしていたかい?」
「今日は少しクランキングが長いように感じたけど、大丈夫?」
「右のリアフェンダーが少し汚れているね」
車の回りを目視しながら、心の中で車と対話をする。
次に、電動の幌を立ち上げ、トノカバーに収まるまでの動作を最後まで見届ける。
今日はスムーズ。
サイドウインドも下げた。
耳に入ってくるアイドリング音は約10db程上がる。
「じゃそろそろ行こうか」
パドルを引きギヤをローにイン。ほんの数ミリ、アクセルペダルに右足を充てて
半月振りにコントロールするリニアな感触。
クラッチを出来るだけ労り、微妙なアクセルの感覚をゆっくりと思い出して行く。
屋内から青空の下に降りた瞬間
淡い日差しがポルトローナフラウの車内を優しく包み込む。
絶妙な光の些事陰減で、いつもより1段とベージュのレザーが品やかに見えたのは言うまでもない。
朝6時前
「さあ今日はどんなお遊戯をしよう?」
息子
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